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Alibaba(アリババ)の2019年度第二四半期決算と今後の見通し(②高い原価率と多角化事業)

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あつまろ。個人投資家。長期的な視点で資産運用に取り組んでいます。 1)株式投資を中心とした資産運用 2)生活とお金

あつまろです。

今回はアリババ決算からの考察の2回目です(前回記事)。前回は売上とECビジネスを中心に取り上げていましたが、今回はコスト構造とEC以外のビジネスについて考察していきます。

営業利益とコスト構造

営業利益のスライド

(決算資料から筆者作成)

営業利益が伸び悩んでいる構図になっています。ECビジネスという業態と50%を超える増収率なので、売上の伸びに応じて利益も伸びそうなものですが、どのような理由があるのでしょうか。コスト構造をみてみましょう。

コスト構造のスライド

(決算資料から筆者作成)

何が利益の圧迫要因かというと、目につくのがオレンジ色(一番下)の項目である「原価」です。3年前の34%から55%まで伸びています。この3年で売上高も大きく変わっていますので実数値としては原価が6倍以上に伸びています。これだけのコストをどこにかけているのでしょうか?ひとつはタオバオやTモールなど稼ぎ頭のECサイトとは違う多角化領域だと思います。原価の上昇は利益圧迫要因というデメリットな見方ができる一方で、逆に事業拡大にむけた攻めの投資をしているという見方もできます。ちょっと多角化事業についてみていきましょう。


アリババの多角化事業① 新型スーパー(フーマーフレッシュ)

「盒馬鮮生(フーマー・フレッシュ)」日本の高級スーパーと同じくらい清潔とのことですが、私は未見なので、ぜひ一度見にいきたいです。店舗数は2018年9月末で77店舗。ざっくり総計1000万人超の顧客リーチをしていると言われています。計画では2021年に顧客数3億人と30倍を目標としているそうです。

Humaのスライド

アリババ決算プレゼンテーション資料からの抜粋

何が注目すべき点かというと、まずは商品力。人気コーナーの魚介類では大きな水槽やいけすが所狭しと並んでおり、写真にもあるとおり生きたカニを始め、貝類、魚が泳いでいるそうです。鮮度は目に見えるウリになりますね。

次に内食需要。お手頃価格で店内の厨房エリアで調理してくれるというのです。鮮度が高い生鮮品があれば、そのまま調理済食品に変わるわけです。私たちもスーパーやコンビニで調理済食品を買っているのでイメージが湧きやすいですね。これを一人ひとりのオーダーで調理してくれるとはありがたいです。

最後にデリバリー。フーマー専用アプリで3キロ圏内であれば30分以内に届けてくれます。最新決算ではオンライン比率が60%と発表されています。過去からこのオンライン比率は伸びてきています。何度か店舗を訪れてショールーム化してイメージができれば、今日はアレを食べようとスマホ注文で完結するわけですね。これによって何が起きるかというと、フーマーはある意味、小規模物流拠点になり、半径3キロ圏内に住む10万人のほとんどすべてのモノ消費の需要を押さえることができるということを意味します。従来のECで手がけにくあった生鮮品、さらに調理済み食品によって外食の需要も一定程度取り込むことができます。通勤帰りにスマホで夕食をオーダーして家に着いたら食品や食材が届く。この商圏をあと3年の2021年までに、3億人にリーチする。

アリババの多角化事業② アリペイを核にしたFinTech事業

アリペイは中国のモバイル決済の2強のひとつ。そのビジネスを展開しているのがアントフィナンシャル(以下、アントと記載します)。アントはアリババの決済部門を担うアリババの子会社として2004年に業務を開始していますが、決済業務ライセンス取得のためにいろいろと複雑な資本関係になっています。しかし、今でも深い関係性にあります(「アリババとアントフィナンシャルの資本関係」まとめ)。

アントのアリペイは日本でもすこし始まりだしているQRコードでの決済。日本でクレジットカード決済だと3%程度の手数料がとられますが、アリペイは、個人間や個人事業主は決済手数料ゼロ。大手企業がが利用しても最大手数料率は0.6%。アントはアリペイ決済をインフラとして、融資や信用スコアなどFinTechの道を邁進しています。

なお、アリペイの融資は「3・1・0」の世界だそう。3分間で融資の申し込み。1秒以内にモバイル送金でお金が届く。人間の介在は0(ゼロ)でAIによる判断。これによって個人事業主たちがアントマイクロローンによって融資を受けていて、融資総額は1兆円を超えるそうです。もはや従来の銀行業務がディスラプティブ(破壊)されていますね。



アリババの多角化事業③ 動画ビジネス(中国版YouTubeのYouku)

 

Youku

アリババ決算プレゼンテーション資料からの抜粋

アリババはコマース系以外の事業でも、クラウド(AmazonのAWSや、MicrosoftのAzureに近しいサービス)を手がけていたり、デジタルメディア&エンターテイメント事業も手がけています。このYoukuは後者に属しています。中国というのはある意味、デジタルサービスでは鎖国していて米国資本が参入できないので独自進化を遂げます。動画では最近TikTokがすごい勢いで伸びていますが、あれも中国企業が展開しているもの。最初は米国産サービスから始まってきたものの中に、中国産が生まれつつあるのが実情です。今回は中国版YouTubeと記載していますが、そのうちオリジナルのものへの進化を遂げる可能性があります。重要なのは、このYoukuはアリババが生んだ企業ではなく買収しているということ。アリババはスタートアップの目的地になっているわけです。

Youku自体も広告料などでマネタイズが進んでいくものと思います。しかし、それだけでなく次々と中国国内はもちろんのこと、世界にも打って出れるような中国スタートアップがアリババ(もしくはテンセント)に集っていく流れ自体にアリババの強みを感じます。

前回は売上と主力事業であるECサイトビジネスを取り上げました。今回は営業利益と多角化による事業展開をみてきました。次回はキャッシュ・フローと株式への投資判断について考察していく予定です。

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